アプリ・システム開発を進めていくうちに、要件漏れだったり、開発会社との認識相違が出てくることは、必ずと言っていいほどあるものです。
その時に、漏れた要件を予算内で吸収できればいいのですが、開発会社から「見積に入っていないため追加費用となります。」と宣告されるケースがあります。
そんな時は、どうすればいいのでしょうか?
保険を掛けておくこと
既に予算を確保していたら遅いのですが、まだ予算を確保する前であるならば保険を掛けましょう。
保険と言っても、本物の保険ではなく単純に言うならば、開発の見積金額の20%~30%増しで予算を確保しておくということです。
特に、最初の開発であるならばなおさらです。
(つまり、開発済みのアプリに機能追加をする場合ではないということ)
最初の開発においては、委託側としての考慮不足や、要件定義で開発会社へ伝えきれないことが多々あります。(余程、開発慣れしていない限り)
質の高い開発会社であれば、考慮不足等を指摘したり、提案したりできるかもしれませんが、それを期待しすぎてもいけません。
だからこそ、最初から多めに予算を確保しておくべきです。
あるいは、同じ効果として、開発対象機能を20%落としておくという考え方もあります。
保険を掛け忘れたらどうするか
しかし、時すでに遅し。
余分に予算を確保できないとするならばどうするかです。
まずすべきことは、本当にその要件を追加する必要があるのかを精査してください。
要件が漏れていたことに気が付くと、焦る気持ちが先行して、冷静に考えることができなくなります。
そんな時は、一旦思考を停止して考え直しましょう。
- その要件を追加しないとどうなるのか?
- それは、致命的なことなのか?
- 頻繁に起こりうることなのか?
- 開発完了後の追加開発でも事足りるのではないか?
もし、自分だけで答えがでないなら、開発会社にも相談しましょう。
代替案を提案してもらえるかもしれません。
運用でカバーしましょうという提案にご注意
考え直したら、実は致命的ではなかったとか、自己解決する方法を見つけたなどの結果になれば幸いなこと。
しかし、やはり解決策が見つからず、開発会社から「運用でカバーしましょう」という提案が来た時に注意すべきことがあります。
運用でカバーというのは解決策の一つであることに間違いありません。
ただし、判断を間違えると大変なことになってしまうので、以下の点で考えてみてください。
①運用でカバーする頻度はどれくらいありますか?
例えば、年に1回しか必要としない業務に対する機能が必要であるケース
これならば、頻度が低いのでいいかもしれません。
しかし、週に1回起こる業務に対する機能を運用でカバーしていたなら、システム化したのに、利用者の負担が増え、システム化の意味がない!ということになりかねません。
②運用でカバーする作業は単純なことですか?
頻度が低いからといって、複雑なことや、大量の業務を人手で行うのは好ましくありません。
それは、単純作業であり、かつ○○さんしかできないというような人に依存する業務でないということを確認してください。
もし、単純なことでないからば運用でカバーするのは好ましくありません。
③DBを直接修正して対応するということですか?
ある値を出すために、あるいは情報を追加するためにデータベースを直接操作しなければならないのであれば、それは危険な作業です。
最近は、データベースをエクセルのように簡単に操作できるツールがあるため、DBの直接操作という誘惑もあります。
しかし、簡単であるがゆえに、気軽に操作してしまいデータの間違えなどを行った結果、システム全体に影響を及ぼしてしまうということは
珍しいことではありません。
間違った場合にも回復できることを考えた手順書を作り、その通りにやればいいという考え方もありますが、できるだけ避けたいところです。
次フェーズの開発で相殺するような交渉も一手
やはり、どうしても漏れた要件を開発しなければならない。
予算増額もできない。
そんな時、もし次のフェーズの開発が決まっており、必ずその開発会社へ委託することが約束できるならば、今回の開発では見積内で吸収し
次のフェーズに金額を上乗せしてほしいという交渉もあるでしょう。
実際、このようなケースはあります。
率直に、開発会社へ相談してみてはいかがでしょう。
いくら時間をかけて要件定義を行ったところで、起こりうる定義漏れや開発会社の認識相違。
ゼロにすることはとても難しいですが、限りなくゼロにすべく、要件定義で徹底的に出し尽くすことが何よりの解決策です。
要件定義については、こちらを参考にしてください。
(参考)
要件定義とは?
【アプリ開発】『要件定義』ではどこまで「定義」するのか?
システムのプロは、あなたの業界のプロではない (常識が常識ではないことを思い出してください)
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